同志社大学人文科学研究所
国際学術シンポジウム 「磁場としての東アジア」シリーズ・第4回
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北に渡った言語学者・金壽卿(1918-2000)の再照明
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日時:2013年11月9日(土) 10:30~17:30
会場:同志社大学今出川キャンパス・明徳館M1教室
※地下鉄烏丸線・今出川駅下車、徒歩3分
※キャンパスマップ http://www.doshisha.
日本語・コリア語の通訳あり / 入場無料・申込不要
【シンポジウム趣旨】
金壽卿(キム・スギョン、1918~2000)は、1945年以前に京城帝国大学法文学
部・東京帝国大学文学部(大学院)で哲学と言語学を学び、日本の敗戦後は1946年
に北朝鮮(1948年以降は朝鮮民主主義人民共和国)に渡り、同国の言語学・言語政
策において大きな影響力をもった言語学者である。たとえば現在「労働」という
単語について、南では「ノドン(nodong)」で北では「ロドン(rodong)」と表記す
るが、この表記法が北朝鮮で確定される際に大きな理論的役割を果たしたのが金
壽卿であった。彼は1940年代から1960年代まで、同国の言語学の中軸を担った。
しかしながら、その歩みはまだ本格的には解明されていない。
本シンポジウムは金壽卿の生涯と研究について多角度から検討することで、北
朝鮮の言語政策・言語理論のみならず、植民地時代および冷戦期における学問や、
南北分断状況における家族といった問題まで考える。言語という側面から北朝鮮
を照明することは、同国に関する冷静な学術研究が求められる現状において、新
鮮な視点を提供すると考える。
本企画の目玉は、金壽卿の実の娘・金惠英氏(トロント大)と実の息子・金泰
成氏(釜山大)による特別講演「父、金壽卿」である。金壽卿は朝鮮戦争時に家
族と離ればなれになったが、1980年代末以降、再会をとげる。その家族離散と再
会の経験を語っていただく。公の場でこの話を語るのはこれが初めてのことであ
り、注目される。
こうしたパーソナル・ヒストリーを中心に置きながら、専門の研究者をパネリ
ストとして招き、金壽卿の業績や生涯について学術的・総合的に論ずる。
第1部「北朝鮮の言語学・言語政策と金壽卿」では、まず金河秀氏(延世大)が、
その後の専門的な議論に先立つ講演として、北朝鮮の言語政策および言語学史を
総論的に論ずる。次に崔炅鳳氏(圓光大)が、コリア語学史のなかで金壽卿の業績
を実証的に位置づける。
第2部「金壽卿の国際的な照明」では、日本・旧ソ連・中国のそれぞれの観点
からの議論を提示する。まず、コ ヨンジン氏・板垣竜太氏(いずれも同志社大)
が、金壽卿の朝鮮語学を、植民地時代の知的形成や日本との関係から論ずる。次
に趙義成氏(東京外国語大学)が、ソ連の言語学の影響という観点から金壽卿の位
置づけを論ずる。そして、中国の朝鮮語学の元老研究者である崔羲秀氏(青島濱
海学院)が、中国朝鮮族の言語学への金壽卿の影響を語る。
公開シンポジウムであることにかんがみ、専門的な内容を含みながらも、一般
聴衆にも分かりやすい場であることをめざしたい。
【プログラム】
10:30開始
第1部 北朝鮮の言語学・言語政策と金壽卿
金河秀(延世大学校)「北朝鮮の言語学史をどうみるか」
崔炅鳳(圓光大学校)「国語学史の観点からみた金壽卿」
司会:コ ヨンジン(同志社大学)
(昼休み 12:20-13:20)
第2部 金壽卿の国際的照明
コ ヨンジン・板垣竜太(同志社大学)「金壽卿の朝鮮語研究と日本」
趙義成(東京外国語大学)「旧ソ連の言語学と金壽卿」
崔羲秀(青島濱海学院)「金壽卿と中国の朝鮮語学」
司会:洪宗郁(同志社大学)
特別講演
金惠英(トロント大学)・金泰成(釜山大学校)「父・金壽卿」
第3部 総合討論
司会:板垣竜太(同志社大学)
17:30終了
【主催・問合せ】
主催:同志社大学人文科学研究所
共催:同志社大学グローバル地域文化学部、同志社コリア研究センター
全般的なお問合せ:同志社大学人文科学研究所
Tel: 075-251-3940
E-mail: ji-jimbn@mail.doshisha.ac.jp
http://jinbun.doshis
個別・専門的なお問合せ(コリア語対応可):企画者
ksg.sympo@gmail.com ip information
category: シンポジウム